沿岸警備隊の業務を支援

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ルイジアナ州のバイユー・ラフォーシェの川岸では交響楽団が熱心に仕事をしています。演奏をしているのではなく、この交響楽団はボートを造っています。米軍のためのダブルハル艀、オフショア石油船、タグボート、リグ、リフトボート、プッシュボート、パトロールボートなどです。ドナルド・ボリンジャー氏が第二次世界大戦から帰還した3人の兄弟の助けを借りて始めた、創業70年のボリンジャー造船所ですべて建造されています。

ボリンジャー社での造船は、通常、オランダを本拠地とする船舶の国際的なデザイナー兼ビルダーであるダーネングループから認可された設計から始まります。ダーネン社の設計は、ボリンジャー社が受けた沿岸警備隊からの最新の注文の船舶「38センチネル型即応カッター」の基盤となるものです。この注文は、長さ154フィート、幅26フィートのDarnen Stanパトロール船を基準にしています。ボリンジャー社はこれまでに23艇のカッターを納入しましたが、最近では4月にUSCGCベンジャミン・デイリーがフロリダ州キーウェストにある沿岸警備当局に引き渡されました。ボリンジャー社は過去30年間に合計約150の船舶を沿岸警備隊に納入しています。

ボリンジャー社の新規建造製造担当バイスプレジデント、ダニー・リチャードル氏は、ボートに命を吹き込むためには、慎重に調整されたチームが必要であると説明しています。ボリンジャー社のエンジニアは、顧客と密接に協力してまず適切な船舶を決定し、完成品を構成する金属を切断して溶接する作業を開始する前に、必要な修正を行います。設計エンジニアのフルチームに加えて、ボリンジャー社は機械エンジニア、電気エンジニア、溶接エンジニア、プロジェクトマネージャー、マテリアルマネージャー、会計士、電気技師、大工、加工製造工、溶接工を合わせて採用しています。全員が週5日、1日2シフトを担当します。塗装スタッフのように必要があれば週末に働く者もいます。

ボリンジャー社の交響曲が正確にメロディを奏でるようするには、スケジュールどおりに仕事を進めることが非常に大事です。小さな問題であっても、慎重に計画されたプロジェクトに影響し、納期に間に合わなかったり、予算が膨らんだりすることがあります。これらの障害を最小限に抑えるために、ボリンジャー社はISO-9001取得済みの施設全体にリーン生産方式を採用しています。メキシコ湾岸沿いにある多くの施設の中のひとつである、ルイジアナ州ロックポートの250エーカーの造船所、ボリンジャー社では、HyPerformance® HPR260 プラズマシステム、MAX200® 従来型プラズマ、HyPrecision® 50 ウォータージェットポンプ、そして全てをつなぐProNest CAD/CAM ネスティングソフトウェア を組み合わせて活用しています。

ボリンジャー社のプラズマの採用は、実際にはHyperthermではないシステムで始まりました。これは残念ながら、うまく行きませんでした。切断品質は希望に沿うものではなく、社員は二次的処理作業に多くの時間を費やしていました。これに失望したボリンジャー社は、ロックポートの既存のCNCテーブルに新しいHyperthermプラズマシステムを追加することを推奨したALLtra社に連絡を取りました。ボリンジャー社はそれに同意し、その選択は素晴らしいものでした。

「切断プロセスの速さとスループットは私たちにとって非常に重要です。切断プロセスは迅速に行われる必要があり、同時に切断は正確かつきれいでなければなりません。」と品質管理システム担当バイスプレジデントのデニス・ファンギー氏は説明します。「HyPerformanceのプラズマは大活躍で、グラインダーがけや二次処理を省略できるようになりました。部品は今すぐ使用できる形で切断ベッドから出てきますし、部品番号がマークされています。

ボリンジャー社は複数の種類の金属を切断しています。一般的に、船体は強度のために軟鋼製であり、上部構造体は重さが少ないアルミ製です。具体的には、ボリンジャー社ではプラズマを使用して、5086および5456グレードのアルミ、AH36およびA36の軟鋼、さらに、時折ステンレスも切断します。パイプ、パイプサドル、孔もプラズマで切断します。同社は、ワシントン州のJesse Co.社の8軸ロボットパイプサドルおよび孔切断機で MAX200を使用しています。プラズマで切断できない部品がいくつかあります。防水ドアに使用される小型で複雑な部品は、非常に高い精度が要求され、異なるプロセスが必要です。

「私たちは常にコストを管理し、費用を削減する方法を模索しています。過去に、当社は独自に防水ドアを製作していましたが、その専門性を失い、それらの部品を購入するようになりました。」とリチャードル氏は語っています。しかし、そこには落とし穴がありました。ドアやハッチの購入コストが高すぎることです。同社は外注を試みましたが、品質とスケジューリングの問題に悩みました。「外注することで、作業に遅れが出ました。プロジェクトは中断され、時間がかかり、顧客は品質に満足していませんでした。」と、リチャードル氏は続けます。ボリンジャー社のチームは、社内での作業を再び検討する時期に入ったと判断しました。

同社はコイケアロンソン社に相談し、最終的にHypertherm HyPrecisionポンプを搭載したK-Jet 6 12システムに決定しました。昨年10月にシステムを導入した後、現在同社は独自の防水ドアとハッチを製造しています。「ドアはウォータージェットを買う動機となりましたが、実際には社内でもっと作業をしたいという希望だったのです。」とリチャードル氏は言います。ファンギー氏は次のように述べています。「ウォータージェットはとても精密です。部品に熱影響部がなく、マシンのセットアップが迅速です。金属、プラスチック、ゴムのような様々な材料を切断することができます。」

ボリンジャー社は予期せぬ利点も発見したことになります。K-ジェットシステムは非常に効率的です。ボリンジャー社は、ドアを製造して、他のボートメーカーにそれを販売することができるようになりました。これにより同社は別の収入源も得ることになりました。「ウォータージェットの投資収益率を把握するのに丸1日かかりましたが、それは肯定的なものでした。」とリチャードル氏は付け加えます。彼は投資を回収するのに2年もかからないと見積もっています。

スピードと切断品質に加えて、作業が外注されていた時には管理が難しかった廃棄物を最小限に抑えることは、ボリンジャー社にとってとても重要です。ボリンジャー社の設計ツールは、造船業界や海洋産業界で使用されている ShipConstructor、3D モデリングツールです。また、HyperthermのProNest 2017をプラズマテーブルとウォータージェットテーブルの両方で使用し、部品を効率的にネストするCAD/CAMソフトウェアの機能を利用して、スクラップがほとんど残らないようにしています。さらに、ProNestのオプションの開先マシンモジュールを使用して開先エッジ切断にも使用しています。

組み立てが始まってから数ヶ月が経ち、進水する時が来ました。沿岸警備隊のセンチネル型即応カッターのようなボートは、タンデムクレーンのシステムを使用してバイユー・ラフォーシェに慎重に降ろされます。沿岸警備艦が頻繁に遭遇する厳しい条件での耐水性を完全に確保するための厳しい試験をクリアした後は、この船の納品をスケジュールし、そして新たな建造に着手する時です。