デジタル化で労働者不足を克服する

FABTECH 2022 では、現在の熟練労働者の不足が頻繁に話題になりました。熟練労働者の不足は、加工製造業を含む経済のほぼすべての部門に影響を与えています。残念ですが、状況がすぐに良くなる見通しはないようです。

ありがたいことに、自動化とデジタル技術を活用することで、この影響を軽減することが可能です。FABTECH で私が行ったプレゼンテーションで提示した 3 つのポイントをご紹介します。これにより、切断作業における労働力の制約を緩和するのに役立つ可能性があります。

1.今日利用可能な強力でシンプルなソフトウェア機能を活用すること

ソフトウェアとデジタルソリューションを追加することは、概念として新しいものではありません。実際、モノのインターネット (IoT) とインダストリー 4.0 の導入により、多くの加工製造業者が日常のプロセスに複数のテクノロジーを実装しています。残念ながら、これらの加工製造業者の大部分は、自らのソフトウェア技術を十分に活用していません。切断プロセス用の高度な CAD/CAM ネスティングソフトウェアをまだ実装していないのであれば、それが素晴らしい出発点になります。すでに実装しているのであれば、その能力をフルに活用していますか？手近な手段を活用して、運用効率を大きく向上させましょう。

Hypertherm Associates Software Group の一部である ProNest^® のような高度な CAD/CAM ネスティングソフトウェアソリューションの標準機能が作業時間を大幅に節約する仕組みを示すいくつかの例を次に示します。

• • 切断用のジオメトリを自動的に準備する。

    古いことわざでは「measure twice and cut once (2 回測ってから 1 回で切る)」と言います。高度なネスティングソフトウェアは、2 回測る手間が省けます。正しいリード、正しいカーフ幅、正しい切断シーケンスを自動的に適用します。この部分の負担を減らすことで、オペレーターはより自信を持って切断プロセスを正確に実行できます。幸いなことに、ネスティングソフトウェアは、大規模な産業プロセスだけに限定されるものではありません。これは、小さな金属アートデザイナーが創作プロセスにも使用できるだけ手軽さのある投資です。

  • 自動ネスティングアルゴリズムを使用する。

    部品 500 個の作業を手動でネストするには 5 時間かかりかねません。自動ネスティングプログラムの場合、このジョブは 30 秒で済ませることが可能です。True Shape Nesting や高収量材料利用などの機能を使用すると、時間だけでなく原材料の費用も節約できます。

  • 単一のソフトウェア ソリューションを実装する。

    すべてのオペレーションに単一のソフトウェアプログラムを使用するだけなので、作業が楽になります。ProNest ソフトウェアは、実質的にすべての切断機ブランドやモデルと連携でき、プラズマ、ウォータージェット、レーザー、ガス溶断のプロセスをサポートできます。プログラムを単一のソフトウェアソリューションに統合することは、複数のブランドの機器を扱っている大規模な金属サービス会社にとって理想的です。ソフトウェアソリューションが単一であることは、トレーニングも容易にします。

2.NC コードを改善する

CAD/CAM ネスティングソフトウェアプログラムのもう 1 つの利点は、切断品質や切断結果を改善できることです。このソフトウェアは、適切なプロセスパラメータをコードに直接埋め込むことでこれを行います。おそらく過去には、企業が熟練したマシンオペレーターと数十年の経験を持つ熟練したプログラマーに依存することで、よりシャープなコーナー、よりクリーンなエッジ、より優れた穴品質などの最良の結果を生み出すことができたのでしょう。しかし、こうしたオペレーターは引退しつつあり、同量の知識を持つ新しいオペレーターを見つけることは、不可能ではないにしても困難です。その専門知識をソフトウェアに直接組み込むことで、加工製造業者は優れた結果を生み出すことができます。

優れた NC コードが二次加工を削減できる仕組みを示す例をいくつか次に示します。

• • プラズマテーブルでの穴品質を向上させます。

Hypertherm Associates は、10 年以上前に True Hole^® 技術を導入し、プラズマ切断の穴品質に革命をもたらした最初の企業です。True Hole は、プラズマテーブルにボルト対応の穴をあけることができるため、現在でも重要な技術であり続けています。これにより、ドリル作業などの二次機械加工を排除できます。True Hole は、CAD/CAM ネスティングソフトウェアによって自動的に適用されるものであり、この CAD/CAM ネスティングソフトウェアがコードを正確に調整し、プロセス、ガスの種類、ガスフロー、アンペア数、ピアシング方法などのパラメータを最適化します。その結果、穴のテーパーを実質的に排除し、へこみやくぼみを減らし、熟練したオペレーターがいなくても優れたボルト穴品質を実現できます。

• • プラズマ テーブルでの開先切断を改善します。

    このソフトウェアを使用すると、より正確で一貫性のある優れた開先エッジを簡単に実現できます。これは、正しい開先補正を事前に決定し、それらの切断条件表をソフトウェアに埋め込むことができる技術である True Bevel^® を使用して行われます。そのため、開先切断を設定するときのプロセスがはるかに簡単になります。時間を大幅に節約し、完全な嵌合を実現するための二次的な研削ステップを回避できます。

3.高度なソフトウェアオプション

運用に複雑なワークフローがあり、複数の機器ブランドを使用し、さまざまな部門の人が常に関与している場合は、お客様のソフトウェア要件を評価する適切な時期だと思われます。工業用自動化技術は大きな進歩を遂げており、業界の要求を満たすために進化を続けています。ここではご利用の ERP/MRP システムを高度な CAD/CAM ソフトウェアと統合することで得られる顕著な利点をいくつか示します。

• • インベントリの回転を促進する

  • 納期を短縮する

  • 予定納期達成率を向上する

  • 受注促進のための作業人員を削減する

ProNest ネスティングソフトウェアは、ERP/MRP 統合のための高度なエンタープライズモジュールを提供します。データ同期モジュールのインストールは、ProNest ソフトウェアと ERP/MRP ソフトウェア間の情報交換の基盤を作成するための最初のステップです。この基盤が確立すると、次のような他のモジュールを追加できます。

• • プレート在庫モジュール。

    利用可能なすべての在庫を保存、追跡、使用するために、デジタルプレート在庫管理がデータベースを構築します。すべてのプレート、端材、スケルトンの記録を維持できるので、ネスティングに利用できるものを常に把握できます。ネスティングシステム最適化を使用している場合は、在庫をスキャンして、タスクに最適なプレートを提案することもできます。プレートの物理的なチェック、プレート測定、端材生成の必要をなくすことで、在庫の回転をより迅速に行うことができます。ERP/MRP の統合により、特にサプライチェーンの問題が深刻な場合に、再注文作業を予定より早く進めることができます。

  • 作業指示書処理モジュール。

    紙ベースの確認作業と手作業による作業指示書の入力を減らします。デジタルでの作業指示書処理により、ネスティング画面から直接作業指示書を処理できます。リアルタイムデータは、ERP システムから自動的にインポートできます。効率を向上させるため、プログラム内の必要な作業をすばやく簡単に並べ替え、関連する作業指示書をひとつのジョブにマージできます。ERP/MRP の統合により、常に最新の作業指示書を最初にインポートし、直ちに完了しなければならない「急ぎの」タスクを優先し、それぞれの作業指示書がいつ完了したかを知ることができます。

  • 生産マネージャーモジュール。

    切断機でのジョブのステータスを追跡し、停止アラートを受け取り、全体的な切断性能に関する洞察に満ちたデータを収集します。生産マネージャーは、リモートからでも CNC マシンとの直接接続を確立でき、マシンのステータスをチェックしたり、迅速に調整したりできます。マシンオペレーター、店舗マネージャー、販売員、および顧客サービスチームのメンバー全員がリアルタイムで開発状況を確認できます。

自動化とデジタル技術を利用することで、熟練労働者の不足をより適切に管理し、原材料にかかる費用を節約し、利益を増やすことができます。ProNest に関する詳細は、www.hypertherm.com/cam をご覧ください。